kurakenyaのつれづれ日記

ヘタレ リバタリアン 進化心理学 経済学

ザンゲして善人になりたい!

今日僕は関西学院大学までいって、Dan Ariely の講演を聞きに行った。キャンパスはカトリックだからか、とてもきれいだが、なにせ駅から遠い。歩いて20分ぐらいかかるのは、この寒さではなかなかキツい。

内容としては Honesty について、彼の行なってきた実験結果をいくつかを紹介したもので、「予想通りに不合理」、「不合理だからうまくいく」に書いてあったような、あるいは なかったような、、、


例えば、人間はベッカー的にチートをするのではない。つまり、チートによって得られるものが大きければ大きいほどインセンティブがあがるわけではなく、むしろ適当な大きさがある。なぜなら、それ以上だと、「自分は悪人だ」と認識せざるをえなくなって、心理コストが急増するからだ、という。


あるいは、人間は、チートは最初は時々しかしなくても、ある閾値を越えると、急にいつもチートするようになる。カトリックの懺悔というのは、それをリセットする機会になっていて、そのためにそういった文化が発達してのではないか、という。


彼はこれを試すため、すでにチート・モードになっている被験者に対して、「最近した悪事について書かせ」、ついで「それを反省させた」結果として、被験者はリセットされて、チート率が最初と同じ程に激減したという。


なるほど、こういった人間心理はあるだろうと思うし、本当に興味深い。


あえていうなら、人間は彼の実験にあるような受動的な存在ではなくて、もっと自分でいろいろな機会や交遊を創りだしていくものだ、ということが重要な気がする。


例えば、カトリックの懺悔によって悪人がリセットされて善人に戻るというのが、あらゆる悪人について本当だとしよう。それでも、悪人という人たちは、そもそもそういった懺悔の機会を嫌い、そういうことをしないような人間関係や生活環境を自分でつくり出しているはずだ。だから、結果として、悪人はより長い時間、あるいは永久にチートモードにあって、悪事を働き続ける、、、という具合に。


あ、、僕は彼のような実験を批判したいのではなくて、むしろすばらしいと思っている。誰が彼ほど独創的な実験を思いつくだろうか? 真に尊敬できる研究者だ!