小生の母方は多胡という姓なのだが、
祖父は北原白秋門下で
児童文学「赤い鳥」でそれなりに活躍した人のようだ。
小生は父方の名を継いでいるので姓は違うのだが、
この祖父には小さい時、いろんな折に世話をしてもらい、
小学校まではにいつも相手をしてもらっていた。
で、ある時、その祖父には育てられていないが、
伯父を通じて姓を継いでいるイトコが、
その文学作品についてやや悪しざまに論評するのを聞いて、
不愉快に感じた。
小生の実感は
「おまえは確かに名前こそ継いでいるが、
祖父さんとは、コンタクトはなかっただろうが！」
というものだ。
もちろん、そのイトコ個人は嫌いだというわけではまったくない。
彼には論評する資格が少なくとも小生と同じだけある。
こういったところで、姓という名をとるか、
あるいは実際の接触という実をとるかの差が出るように思う。
人間とは何なのだろうか？
名というのは本当に形式だが、
体験的なつながりは実質だ。
小生は実質を大事にしていきたいと常々思っているのだが、
なぜか、世の中には形が大事だという人のほうが多いように思うのは
実に不思議なことだ。
