kurakenyaのつれづれ日記

ヘタレ リバタリアン 進化心理学 経済学

学問のjargonが多すぎる

心理学ではdelayed gratificationというが、
経済学では low time preference, or low discount rateとよぶ。
人間が報酬をどれだけ待てるかという心理的な側面をさすのに
なぜか二つの言葉がある。
別に学問は別々だから構わないともいえるのだろうが、、、、



実験経済学でも心理学でも、
今の小さなキャンディか、一週間後の大きなキャンディか?
というような実験は数多く行われてきたが、呼び方が違うのだ。


Becker以来のhuman capitalもまた同じようなものだ。
これはcapitalという、きわめて常識的な経済学用語から
「人間に付随する資本」という転用がなされて普通に使われるようになった。
だが、これはやはり変だろう。


小生は(究極の選択で:笑)経済学者か生物学者かと言われれば、
生物学者であると思うが、経済学教育を受け過ぎているので、
human capitalという表現に慣れ過ぎているのだと思う。


正しくはintelligenceなのだろう。なぜなら、産業心理学などの研究を見ても、
特殊な教育や知識を受けることそれ自体の生産性の向上は小さいし、
6カ月程度でそういった特殊な教育の効果はなくなってしまう。
それに対して、知性は永久的に
0.3ほどの作業効率の相関を示している。


あまり差別的な発言を好むわけではないが、
例えば、小生が遠い昔、大学院で実証研究をしていたマレーシアでは
1980年代からプリブミ政策といって、マレー人を
中国人やインド人よりも優先的に大学に入れてきた。
しかし、今日たまたまマレーシアの資料を見ていたところ、
大学教育の平均年数はマレー系住民の方が中国系よりも長くなっているのに、
小生が研究していた93年に比べても所得格差はますます広がっている。


大学に身を置く小生がいうのもなんだが、
教育というのは政治家の主張や左翼の幻想とは裏腹に、
小学校の読み・書き・算数、以上にはなかなか
生産性に対する効果がないように思われるのである。


似たような話にD4DRという遺伝子座の話がある。
このマイクロサテライトの繰り返しが多ければ多いほど、
個体は刺激に鈍感になり、新奇性を追求するようになる。
ちなみに日本人は2−6回、アメリカ人は4−8回だったように記憶しているが、、、
しかしこの遺伝子は分散の4%しか説明しない。


近い将来にrobert plominなどのグループがいうようなIGF2Rのように、
どこかの遺伝子座にdelayed gratificationやintelligenceの
1%でも説明できたら、それなりにすごいことだ。
そういった結果は、今後のdata baseの発展によるnumber crunchingと
DNA microchipの発展でもっと簡単に明らかになるに違いない。