kurakenyaのつれづれ日記

ヘタレ リバタリアン 進化心理学 経済学

LJP: 電波オークション再論

kyuuriさんが池田さんの書いてるものに反論したらどうか、とサジェストしてくれたので、一筆奏上してみた。

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僕は電波オークションで、税金を廃止しよう、と主張している。さて電波についてネットでのよく発言が知られているのは、なんといっても池田信夫さんだろう。

http://www003.upp.so-net.ne.jp/ikeda/auction.pdf

まず、彼のこの論文では、地デジ帯域について

1、地上デジタル放送に与えられる240MHzは過大である、

2、ホワイトスペースは開放すべきである、

3、(ラジオの)800MHz帯も開放すべきである

4、710−740MHz帯をITSに割り当てるのはムダである、

としている。僕の案では、そもそも放送にするか、通信にするかは落札者が決めることなので、1、は過大とか、過大ではないとかいうことは意味がない。おそらく今世紀を通じて、放送などという一方通行の電波は次第に意味がなると思っている。4はまったくその通りだ。なにせ、放送がほとんどなくなると思うのだから、どうして今アナログ放送を終了した空き地で、さらに移動体デジタル放送をやる必要があるのか??


例えて言うなら、今はグーグルをトップページにする人が多いのだろうが、中にはヤフーをトップページにして、まずニュースを受身でみたい人もいるようだ。そのような人々の嗜好の比率が市場での支払いを通じて、結局は通信帯域の幅と、放送帯域の幅を決めるべきなのだ。

2、3、はどうか。今はテレビのためにとってあるが、使われていないホワイトスペースや、ラジオの帯域は共有地にするというアイデアはどうか? そもそも2.4GHz帯、4GHz帯のの無線LANのような「共有地」についてはどうか?


実のところ、「そもそも、こういった共有地制度が素晴らしいという人は、ITリテラシーの高い人がほとんどだ」、という問題点がある。安価な機器を自分で設定するほうがいいのか、あるいはWimaxなどと契約しても会社が遠くからすべてを設定してくれたほうがいいのか、の問いにまったく応えられないのだ。


全帯域をオークションにすれば、Wimaxのような会社は通信会社として成立するし、あるいは現在のWiFiのように機器の製造販売を許して、一個あたり課金をする会社も成立するだろう。どちらがどの程度の割合になるのかは、人々が市場で決定する。




さて次に、通信帯域のオークションについて池田さんは、営利企業であるグーグルと同じように、

1、IPプロトコルを使うことを要求する、

2、MVNOに開放することを要求する、

べきだという。


僕はこれらについて疑問に思う。1、について。なぜIPに拘る必要があるのか?IPは便利だし、僕も完全にその利点には同意するし、現状では間違いなくIPでやるべきだろうが、そもそもどんな方式を使うかは落札者が決めるべきことではないのか。どういった方式が利用者にもっとも利便性を与えるのか、IPを使わない方式に、規模の経済を上回る何らかの利点があるなら、それに出資する人たち試させてみるべきだろう。


例えば、電力送電には100Vの交流方式が使われるが、高い電圧の方が送電ロスが少ないので、100Vよりも200V方式のほうがいいという人もいて、実際にそういう国も多い。また交流はニコラ・テスラなどの発案で、エディソンは直流による送電を企画していた。直流の方が効率に優れるという側面もあるので、今でも直流でやってみるという会社もあってもいいかもしれない。


世界の電気製品は交流電源を前提に作られているので、規模の経済からして何か特別な利点がなくては、直流送電は普及しないだろう。しかし、未来においてもそうであり続けるのかは、技術進歩と市場によって決まることで、政府が決めることではない。

2、については、サイバーリバタリアンを名乗るものが、そういった要求をするというのはますます奇妙だ。

確かに日本通信はありがたいし、僕も利用しているが、だからといって、ドコモにそれを強制するのはそもそも本末が転倒している。ドコモが現在、MVNOに乗り気でないのは、そんなことをしない方が、独占利益が大きくなるからだ。そしてそれは無料の電波免許が前提になっている。


電波オークションがあるのなら、電波利用効率と、そこからの収益を最大化する企業が入札できるはずで、他所の会社に棚を貸して儲からるならやればいいし、儲からないなら自分でやれば言い。デパートがユニクロユナイテッド・アローズに入ってもらうか、自分で商品を調達して売るか決めるのを、どうして政府が無理やり「デパートになるためには、必ず他所の会社から申し込みがあったら
売り場を貸し出してやること」を要求するのか??


あるいは、もっと今の話題っぽい例をあげるなら、アップルのiPhone の販売戦略が独占禁止法によって変更させられる状態に似ている。かつてのマイクロソフトもそうだったが、アップルは単なる私企業であって、その方式がいやなら、アンドロイドにしてもいいし、ウィンドウズフォンにしてもいい。なんで、アップルのやり方が気に入らないからと言って、国家が強制的にを使ってやめさせるのか?

アップルによるiPhone,iPod iPadなどの販売方式の規制にしても、何らかのブランディングと関係しているのだろう。ルイ・ヴィトンエルメスに無理やり、ある種のカバンを作らせたり、やめさせるようなものだ。


結論: 以上をまとめると、

1、電波放送を許認可で認めることに納得するなら、すでにリバタリアンではない。
2、電波のオークションに賛成しながら、利用法に枠をかけようとすることは市場への信頼と一貫しておらず、リバタリアンの態度ではない。

リバタリアンはすべての利用可能な電波帯域を、一定期間、あるいは無期限の使用権(完全私有権)オークションにかけるべきだと主張するはずだ。