kurakenyaのつれづれ日記

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馬の進化と印欧語族の成功

こんにちは。

 

今日は久しぶりにスタバまで散歩した。このところアル中で動けなかったが、昨晩は有名なジョージ・ゲイロード・シンプソンの『馬と進化』を読んだので、なんとかアルコールを我慢できたからだ。とてもありがたいことで、実に良かった。

 

馬と進化 (自然誌選書)

 

この本は1951年の出版で、もうだいぶ古い。大学時代に名著だと言われていたのを知っていたんだが、これまで自分が馬にあまり興味がなかったからか、読んでなかった。でも、馬に引かせた戦車(チャリオットのことね)は印欧語族の世界制覇を支えた大きな武器だった。

 

馬への愛に溢れた一冊で、馬が好きなんだなーーとホノボノする。内容は馬の進化、生態、歴史での活躍など。この本で有名なのは、「馬は定方向進化の証拠ではない」という命題。

 

馬は奇蹄目の中で際立った存在で、新生代全体を通じて、高速移動に向けての一方的な形態進化を続けてきた。5本指から1本の蹄になるまでの指や足関節の変化や、木の葉を食べる葉から、草を食べる草食への後部臼歯と前部切歯の変化などなど。だんだんと森の近くから広がった草原に適した体へと進化してきた。

 

それで昔は多くの古生物学者が、「生物の進化には一定の方向性がある」ということの証拠だと考えたという歴史がある。その否定の書として、とても有名なのだ。

 

まあ、別の例では「霊長類には、大脳化指数が上がる進化方向がある」というものもあったかも。これも、まあ、そういう風に適応放散してきたという程度では正しいが、別に生物の進化にデザインされた方向性なんてあるはずがない。

 

それと、あと興味深かったのは、すでに印欧語族による馬の家畜化については、70年の間にケタ違いの智識が得られていること。シンプソンの名著は今読んでも面白いが、炭素年代測定なんかが進んで、彼の時代の年代推定はかなり修正されている。以前に現代の第一人者であるデヴィド・アンソニーの「馬、車輪、言語」を読んだので、余計に馬、戦車、印欧語族の歴史研究の進歩がよくわかる。

 

馬・車輪・言語(上) (単行本)

 

ちなみに、こうした「something, something, and something」というのは印欧語族の好む、3単語の連なり。ベストセラーの「銃、病原菌、鉄」みたいなやつね。おそらく「馬、車輪」を読むべきで、シンプソンの本は進化論の古典として時間があったら、まあ、ゆっくり読んでもいいかなということになるだろう。

 

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