kurakenyaのつれづれ日記

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「10万年」のムイミ

こんにちは。

 

そういえば思い出したことに、ボクの持ってるいくつかの本の題名に「10万年」という言葉がある。本自体の内容は素晴らしいので、逆に、10万年というムイミな形容が気になる。

                                                                                                                                    

繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

笑えることに、この本のいう「10万年」にはなんの意味もない! 原題がRational Optimistで、おそらくこの「合理的な楽観論者」という意味は、人間が交換や商業、科学によってこれからも繁栄し続けるという程度のこと。別に出アフリカの6万年とかを基準にしているわけでもなんでもない。

 

10万年の世界経済史 上

 

この本はもっとひどい。テーマは、人間が中世のイギリスで高知能化したこと。しかし、これはおそらく霊長類に分科してからずっと続いてきたことで、それが10世紀以降の歴史時代のイギリスで、はっきりと歴史資料から確かめられたというだけ。ここでいう「10万年」という言葉は、まったくムイミなのだ。(原題は、ヘミングウェイの「武器よさらば」のパロディなので、うまく日本語訳はできないが、もう少しマトモなタイトルはつけられたんじゃないのか?)

 

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多分まともな学者であれば、チンプと分岐した6-700万年、ネアンデルタールと区別される意味での人類になった(anatomically modern human: AMH)の30万年、完全言語を持ったと考えられる4-5万年、農耕が始まった13000年、どれでもいいけど、こうした意味のある数字を選ぶだろう。

 

10万年の響きがバカらしいのは、どうせ普通の人達には100万年と1万年が同じように響いているだろうこと。売らんかな、の商売根性だな。

 

100万年前の人類は今の人類とかなり違うよ。ネアンデルタールなんかは、もっとはるかにゴリラっぽい。また疑いなく、完全言語をもっていなかった。1万年でさえも、青い目や赤い頭髪、乳糖耐性なんかはまったくなかったので、違うといえば違う。

 

というわけで、日本の文系の出版社というのは、こうした感覚にものすごくユルいのが、どうしても気になる。まあ、世の中なんて、そんなもんなのかもしれないが、、、

 

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